医療・介護現場における社内AI活用とは、病院・クリニック・介護施設のスタッフが記録業務・申送り・書類作成などの文書業務にAIを活用して、ケア・医療本来の業務により多くの時間を使えるようにすることです。
「AIを使いたいが、患者さんや利用者さんの情報を入力していいのかわからない」「事務処理・記録業務に時間を取られすぎて、本当にやりたいケアに集中できない」——医療・介護の現場で働く方から多く聞かれる悩みです。
個人情報保護の観点から慎重になることは正しい判断です。同時に、適切なルールのもとでAIを活用することで、記録業務の負担を大きく減らすことができます。この記事では、プライバシーを守りながらAIを使う具体的な方法と、スタッフへの研修設計のポイントを解説します。
最初に決めるべき「入力してよい情報・してはいけない情報」
医療・介護現場でのAI活用で最初にすべきことは、ルールの明確化です。
絶対に入力しない情報
- 患者名・利用者名・家族名
- 生年月日・住所・電話番号などの個人識別情報
- 診断名・疾患名と個人名の組み合わせ
- 施設名・病院名と特定の事案の組み合わせ
- 処方内容・投薬記録と個人を特定できる情報
入力してよい情報(抽象化した形)
- 「70代・認知症の女性利用者の食事介助で○○の場面が多い。ケア記録の文章を作って」
- 「嚥下障害のある高齢者に食事援助をする際の注意点をわかりやすく整理して」
- 「家族向けの行事案内文を作って。○○月に○○という行事を行います」
- 「新人スタッフ向けの申送りの書き方マニュアルを作って」
このルールを「研修の最初の15分」で全員に共有することで、スタッフが安心して使い始めることができます。
医療・介護現場でAIを活用できる業務
① 介護記録・看護記録の文章化
「メモ書き」や「口頭の事実確認」を記録の文章形式に整えることが最も効果が出やすい使い方です。
例:
- 「食事量7割・機嫌よし・歩行不安定な場面あり→記録文章に整えて」
- 「日中ウトウトしていた・夜間覚醒が2回・本人の訴えは頭痛→申送り文に整えて」
個人名を含まない形でのメモを渡すだけで、記録文の骨格が完成します。毎日30〜40分かかっていた記録業務が10〜15分になるケースが多いです。
② 申送りの文章整理
申送りに必要な情報(変化があったこと・注意点・次の行動)を箇条書きで渡し、「申送り文として整理して」と依頼します。引き継ぎが明確になり、伝え漏れも減ります。
③ 家族向け説明文・案内文の作成
難しい専門用語を使わずに家族へ状況を説明する文章、行事・面会ルールの案内文など、「わかりやすく伝える文章」の作成にAIは役立ちます。
例:「○○月から面会ルールが変わります。その内容を家族向けにわかりやすい案内文で書いて」
④ 研修資料・マニュアルの作成
新人スタッフ向けの業務マニュアル、ケアの注意事項まとめ、行事の準備手順書などの骨格作成にAIを使うと、ゼロから書く時間を大幅に削減できます。
医療・介護現場のAI研修設計のポイント
ポイント①:「AIは判断しない、文章を整えるだけ」を明確にする
「AIが言ったから」という理由でケアの判断をすることは絶対にありません。AIは「文章を整える道具」であり、医療判断・ケア判断はすべて専門職が行うというルールを最初に明確にすることで、スタッフの不安と誤解を防ぎます。
ポイント②:施設・病院のセキュリティポリシーを先に確認する
組織によってはChatGPTなどのAIサービスの使用に制限がある場合があります。研修を実施する前に、施設・病院の情報セキュリティポリシーを確認し、使用が認められているサービスを使うことが重要です。
ポイント③:「迷ったら入力しない」の判断基準を先に決める
「これを入力していいのかわからない」という場面が必ず出てきます。「個人を特定できる情報が含まれていると感じたら入力しない」という判断基準を全員で共有しておくことで、迷いを減らせます。
ポイント④:役割ごとに演習シーンを変える
| 役割 | AI活用シーン |
|---|---|
| 介護スタッフ | ケア記録の文章化・申送り整理 |
| 看護師 | 看護記録の下書き・申送り・家族説明文 |
| 相談員 | 支援計画書の構成案・家族向け文書・報告書 |
| 管理職・施設長 | 会議資料・マニュアル・広報文の骨格作成 |
医療・介護現場向けのAIセミナーを設計します
個人情報ルールの設定から始め、記録業務・申送り・書類作成に特化した演習型セミナーです。「使っていいのかわからない」という不安から「翌日から使い始める」状態を作ります。まず30分の無料ヒアリングからどうぞ。
AIセミナーの詳細を見る →まとめ
- 「入力してよい情報・してはいけない情報」のルールを研修前に全員で共有することが最初の必須ステップ
- 患者名・利用者名・診断名などの個人情報は絶対に入力しない。「70代女性・認知症の方のケースで」という形に抽象化して使う
- AIが使える業務は「記録の文章化」「申送り整理」「家族向け案内文」「マニュアル作成」など文書整形系
- 医療判断・ケア判断はすべて専門職が行う。AIは「文章を整える道具」として使う
- 施設・病院のセキュリティポリシーを先に確認し、認められたサービスを使うことが重要
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